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猫は夏の暑い日差しをどこでしのいだのだろう。

by ちゅうぶる

会社の知り合いに紹介されて借りていた一軒家にはエアコンがなかった。夏は耐えれないほど暑くて、少しでも家に風を入れようと窓という窓を開けていた。

30年近く前なので、今ほどの猛暑では無かったけど、妻は私が帰ってくるのを待って、車で涼みに行くようにせがんだ。で、晩飯までの1時間くらい、毎日毎日ドライブに出かけた。

その借家は国道からちょっと奥まった住宅街にあって、窓を開けていても、お隣さんからも覗き見される心配はなかったのだけど、それだけに庭が広かった。若い夫婦二人はそれを持て余していた。梅雨を過ぎると雑草が次から次に生えてきて、芝生を覆い尽くしそうになった。いくら借家だからと言って、草刈りをしないでおくことはできなかった。

休日に、直射日光の下で、汗を大量に流しながら、草を刈った。おざなりだったけど、1時間も作業を続けると、汗まみれで、疲れ果ててしまった。まだ一部しか作業が済んでないのに。で、また次の休日には草刈りをしなければならなかった。

草刈りをしていると、どこからともなく、猫が庭に入り込んできた。窓という窓を開けているので猫は家の中まで入り込んで、居間やキッチンの中まで入り込んで駆け回っていた。

猫はたびたび来た。餌をやったりはしなかったけど、追い出しもしなかったので、家の中も外と同じように感じていたのだろう。

猫は3匹。1匹はブチ、もう1匹はマガ、もう1匹はシロと呼んでいた。ブチは毛並みがブチだったから、マガは尻尾が曲がっていたから、シロは白かったんだよね。

ある晩のこと、夕涼みのドライブから帰ってきて天井を見上げてみると、びっしり蚊が張り付いていた。思わず寒気がした。後に地図を見て知ったのだけど、住宅の奥にため池があって、そこで蚊が発生していたのだと思う。

それ以降、日が落ちる前には窓は閉めるようにした。秋の気配を感じる頃、妻が妊娠した。そうなると猫が入ってくるのはまずいんじゃないかと思って、庭の窓は開けないようにした。

冬になる前に転勤になって家を引っ越すことになった。

夏になるとあの強い日差しと、家の中を駆け回っていた猫たちと、ドライブのことを今でも思い出す。あの頃の猫は夏の暑い日差しをどこでしのいだのだろうか、と。


ちゅうぶる
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